札幌場外市場朝市で売られていた本たらば

カニの王様、タラバガニ。極太な脚からスルリとむいたみずみずしい身にかぶりつく瞬間、たまりませんよね。

そんなタラバガニは主にアラスカ沿岸の北極海、ベーリング海、北太平洋、オホーツク海、北海道北東沿岸部などに生育していますが、漁獲した船によって「北海道(日本)産」「ロシア産」などと区別されます。

国内では禁漁区や禁漁期間があるため、現在ほとんどのタラバガニはロシア産で、北海道産はごくわずかです。

やはり獲れたてゆでたてを北海道の現地で食べたいものですが、今ではインターネットで生きたままの活タラバガニや、水揚げ後すぐに浜ゆで・冷凍するなどした新鮮なタラバガニをお取り寄せできるようになりました。

ではさっそくネットで購入!……の前に、まずはタラバガニの旬や、北海道産と外国産でどう違うかなどについて知っておきましょう。

どこで獲れたタラバガニが美味しいの?

ベーリング海でのカニ漁の様子

実に様々な説があり、ネットなどでは自社が扱っている産地のカニを褒めることが多いので、一概に「どこ産が美味しい」とは断定できないようです。

聞く場所により答えも千差万別ですが、一般的に言われていることを以下にまとめます。

北海道産

春先の北海道産が最も美味しいという説があります。

北海道にはオホーツク海の流氷が流れてきて、この中にタラバガニの餌となるプランクトンが大量に付着しており、春に流氷が溶けてプランクトンが増殖します。

これをたらふく食べたタラバガニが大きく成長し、栄養価の高い身の引き締まった個体になると言われます。

ロシア産

北海道と同じ海域なので流氷によって大量のプランクトンが発生するのと、カムチャッカ半島に流れる川からの豊富なミネラル分により、身入りが良く高品質なカニに育つと言われます。

日本では獲れない北方領土の海域に良い漁場があり、ここで獲ったカニが日本で加工されることもあります。

アラスカ産

アラスカ沿岸も流氷でプランクトンが豊富に運ばれてくるため旨味が強くなるという説も。

さらに北海道産やロシア産と比べて一回り大きいものが多く、比較的安価で手に入るので、業者には人気だそうです。

そもそも産地によって味が変わるの?

どこで獲れたタラバガニ?

皆さんが気にする「産地」ですが、そもそも産地によって味は変わるのでしょうか。

冒頭で説明した通り、同じオホーツク海に生息するカニでも日本の船が漁獲したら「原産地:日本」、ロシアの船なら「原産地:ロシア」として表記されます。

ということは生息環境が同じなら味も全く同じ? それは「NO」です。

たとえばマグロ。同じ津軽海峡に泳いでいるマグロを北海道側の戸井の漁師が獲れば「戸井マグロ」、青森側の大間の漁師が獲れば「大間マグロ」としてブランド化されます。

ですが、戸井は船の上で瞬時に締める「活〆」、大間は個体に傷がつかないように獲る「一本釣り」とそれぞれ漁法や処理の方法が違い、それによって味にも違いが出るとされます。

もちろんマグロの場合はどちらが優れているとか劣っているという評価はつけ難く、それぞれの特長が発揮されます。

ということは、タラバガニも「産地」ではなく「処理・加工」によって味が変わってくるということです。

築地の仲買業者に聞いたところ、「獲るところまではカニは一緒。問題はその先」だそうで、冷凍までの時間や温度、保管の仕方、ゆで方などによって美味しくも不味くもなるとか。

昔はロシアで加工されたものは敬遠される風潮もありましたが、今ではロシアの冷凍技術が格段に良くなり、国内加工と全く変わらないとか。

鮮度を求めるのなら、輸入の場合はどうしても流通によるタイムラグがあるので、漁場から近い北海道沿岸で獲れたタラバガニを生のまま空輸したり、獲れたてを即座に加工したものが新鮮であると言えます。

前浜で揚がった獲れたてを「浜ゆで」したタラバガニなんて、魅力的ですよね。

北海道産タラバガニの旬は?

身がぎっしり詰まった硬ガニに大満足!

ではそんな北海道産タラバガニの美味しい時期はいつかというと、旬は2回あると言います。

1度目は流氷が去った春先の4~5月頃、プランクトンを大量に食べて甘味が強くなる時期。

そして築地の業者によると、殻が硬くなった11~2月頃の「硬ガニ」も身入りがよく人気があるそうです。

甘みの凝縮された春か、身が詰まった冬か、ではそれ以外の時期に取り寄せるカニは美味しくないの?というと、そういうわけではありません。

今の冷凍技術は品質を損なわずに保存・空輸が可能なので、最も美味しい時期に獲った旬のタラバガニを即座に冷凍し、いつの時期でもネットで販売しています。ただ旬のカニは値段が少し張ります。

国内で水揚げ量の多い地域は?

日本でタラバガニが水揚げされるのは北海道だけ。中でも稚内市、網走市、紋別市、枝幸町、雄武町などが有名です。

生息域は水深30~360mで、産卵期には沿岸域の浅みに移動します。ほぼ周年獲ることができますが、12~2月は漁獲量が減少。

漁では、海中に張った網にカニを絡ませて捕獲する「刺し網」によって漁獲します。

例えば枝幸町では12月頃から浅瀬に移動してくるタラバガニを対象に、流氷が接岸する前の12月下旬に網入れを行い、1回目の網揚げは海明けとなる3月中旬頃、それ以降はカニが沖に移動する5月末まで投網と揚網を繰り返します。

北海道ではタラバガニの資源保護のため、メスガニと甲幅13cm未満のオスガニの採捕が禁止されています。

ただ何度も説明したように、北海道のタラバガニは世界的に見てもごく少数で、国内流通量の5%ほどしかないそうです。

刺し網漁も魚種を決めて行うため、そんなに漁獲高の少ないタラバガニ漁は経費の方が高くついてしまい、地元でも漁を行わない漁師が多いそうです。なのでますます北海道産は希少性が高いというわけです。

そんな希少な北海道産はネットで買えるの?

北海道の水産会社から通販でお取り寄せしたタラバガニ(オホーツク産)

北海道産にこだわる方は、確かに、育った海も一緒、冷凍技術も同レベルと言われれば、北海道産でもロシア産でもアラスカ産でも一緒のように感じてしまいますよね。

タラバガニの味は産地より加工や保存技術など業者の腕や誠意に左右される

ただやはり、販売業者は「北海道で獲れたタラバガニを、すぐに港に運んで、即座に加工・冷凍したものが一番価値が高い」と言います。

それはやはり漁から加工まで国内で行われることへの安心感が大きく、扱いも丁寧な場合が多いからだそうです。

(実は枝幸町にある水産会社に問い合せしたときに「タラバガニに関しては北海道産もロシア産も変わりがありません」と教えてもらいました。身入りも毎年異なるので、購入するなら、産地よりもその年の身入りの状態をチェックした方がいい、とのアドバイスをいただきました。)

そんな希少な北海道産のタラバガニは、首都圏では築地市場などに行かないと手に入りませんが、ネットでは地元の業者が即日発送などで販売しており(取扱いのある通販サイトは殆どなく、探すのに苦労しますが)、全国どこでも購入可能です。

ただ、どの業者から買っても同じ品質とは限らないので、良心的で評判の良いお店から買うための情報収集が必要です。

 

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